更新日: 2003/11/09




2003.10.29 (Wed)

ガーディアンが選ぶ小説ベスト100 [etc]

のことを書こうと思っているうちに10月も終わろうとしているではないか。

といっても、これまですごい忙しかったというわけではなく、てか、むしろ昨日と今日の明日の境目が判然としない毎日ではあったのだけれど、最近よく鳴くようになったキャサリンの猫語を研究していたのだ。

「にゃ〜」と鳴きながら門の脇の繁みから勢いよく飛び出してくるだけでなく、ベッドでしっかり寝た後にキッチン兼ダイニングルームに出してくる時にも「にゃ〜」と鳴いてから背を伸ばす。何やら考えごとをしている風に丸くなっていたキャサリンが、おもむろに椅子から降りた後に「にゃ〜」と鳴くこともある。

これまでの観察によれば、彼女は3種類の言葉を発している。

まずは普通のトーンの「にゃ〜。」これは鳴き声をあげることで、自分の存在を知らしめる意図がありそうだ。部屋に向かう私を追いかけて、門の脇の繁みから飛びだしてくる時のキャサリンは、このタイプの「にゃ〜」を口にするし、ベッドから起き出してきて、私の姿が見えない場合に発せられる「にゃ〜」もこれである。

が、同じ「にゃ〜」でも「何か食べるものはないのか?」の意味を持つことがあって、キッチンの流し台を背に立つ私の前、約50センチのところまでやって来て、いったん正座の姿勢でこちらの目を見つめた後に、「にゃ〜」を発しながら近づいてきて、伸び上がった姿勢で前足をこちらの腿のあたりにもたせかけてくる。

いったん目の前に正座し、こちらをまっすぐに見つめるのだから、すでに自分の存在を知らしめているわけで、そこからさらに声を上げ、伸び上がってスキンシップまでやっているのだから、何が言いたいのはお分かりでしょう?てな感じである。これ、カラオケ屋で自分をホッポラかしに盛り上がる若者連に対し、自分がいることをアピールすることで間接的に「歌わせろ」の意思表示をする事業部長、みたいな状況に見えなくもない。

首尾一貫を旨とする私は、そのような状況で事業部長的間接コミュニケーションをいっさい無視するのと同様に、キャサリンにもぜんぜんエサを与えないのである。

この他に太く短い「にゃっ」というのもある。なんとなく目が合った時に発せられることが多いような気がするけど、これが具体的に何を意味するのかは分からない。好き勝手に部屋を歩いていて、たまたま私と目が合って「にゃっ」とやる時が多いんだけど、だから何かをするではなく、外に出ようとしている風情でもない。

清水ちなみの「おじさん改造講座」の「あいさつ・日常編」にはこんな質問が書かれている。

社内のおじさんが社内のおじさんと社内で会った!はたして挨拶します。当てはまるものにマルを付けて下さい。(複数回答可)
1)よ! 2)お! 3)は! 4)や! 5)あ!

キャサリンの「にゃっ」も、このどれかに該当する類の言葉なんだと思う。

ちなみに「●蜜月」と題された銀行OL23歳の回答に「おじさん同士、甘えた声で名前を呼んで後から頭をつついたりします」というのがあるが、キャサリンの行動もかなりこれに近い。

キャサリンにおやじが入っているというのではなく、人間の行動が猫に似ているのである。

普通の「にゃ〜」と「にゃっ」が明らかに私に向かって発せられているのに対して、弱いトーンの「にゃ〜」というのもある。「にゃっ」と同じように、だから何だ的メッセージ性を持たない鳴き声であって、かつ私の方を見るわけでもなく、自分がちゃんと声を出せるのかをたしかめる様な調子で口にされている。

ひょっとすると、この「にゃ〜」も「改造講座」の「ひとり言」に載っていた流通会社勤務22歳OLの話に通じるところがあるのかも知れない。

ハセガワさんがなんかニコニコ歩いているのでなんだろうと思っていたら、「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー、楽しいな、楽しいな」とかすかな声で歌っていた。


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