2003.7.10 (Thu)
▼ 夏がやってきた(その3) [etc]
何をかくそう、いま私はスペインはイビサ島のラス・サリナスというビーチにいて、昼間っからビールとボサノバで、しかも目の前には本当にスラッと小麦色かつヤング&ラブリーな女の子が束になって浜辺を歩いているものだから、それを目で追うのに忙しくて近々ムチウチになりそうな予感をおぼえる昼下がりなのであった。
てな調子ではじまる日記を書くことを夢見ながら毎日を過ごしてうちに、なんとすでに二週間が経っているではありませんか。
で、結局その間にやってきた夏はアメリカンな大型バイクの季節なのであった。
といっても、地鳴りのようなエンジン音をひびかせるイージーライダーな人々が牛津村に襲来したわけではなく、もちろんバイクにまたがった私がヘルス・エンジェルズな夏をエンジョイしているわけでもなく、バイクのオプショナルパーツカタログ翻訳の季節が到来したわけなのですね。
去年の夏、「また来年もお願いします」と言われた時には、夏の扉のうんと向こうを透かし見ている気になったけど、すでに私は「来年」の中にいて、その時と同じように「フェンダーに流れる滑らかなフォルムの輝き」や「クローム仕上げの美しい脚」であるところのフロントフォーク・ロアーのことを思い描いているわけだ。
バイクには何の興味も持っていない私が、去年と同様に大型バイクな夏を、しかし部屋にいると人の声よりも鳥の声の方がよく聞こえる牛津村で過ごしているというだけで十分にシュールな感じになるというのに、これから約36時間後くらいには東京にいるはずで、しかしそこは去年の灼熱アイランドから一転して、風邪引いちゃった人もいるくらいな涼しい夏になっているらしいのだから、何がどうなって今のこの時間があって、この先それがどんなことになっていくんだかまったく実感が持てないでいる。
夜の住人、私どもの、とんだり、はねたり、もしも皆様、お気に召さぬとあらば、こうおぼしめせ、ちょいとうたた寝に垣間見た夢まぼろしにすぎないと。それならお腹もたちますまい。この狂言、まことにもって、とりとめもなしの、夢にもひとしき物語、けっしてお咎めくださいますな。
ということで、東京(および九州?)の真夏の夜の夢にむけて、これから荷造りをはじめるわけなのだ。