2003.9.5 (Fri)
▼ え〜っと [etc]
いま牛津村にいます。時間は午前0時44分、木曜日をまわって金曜日の深夜に突入したところ。
NHK連続テレビ「こころ」ホームページで第24週「めざすは女将十代目」をチェックしてました。
ここしばらく書きものをやっていて、この締切がじつは3日後に迫っているもんだからエライことになってます。何をかくそう、2時間前までは水曜日だとばっかり思っていたので、11時すぎに Yahoo! のページに書かれてた「9月5日 (金)」の文字を見て、締切までの目算がいきなり25%減になってしまったショックでビールを飲んでしまいました。
ここは今年、記録的な猛暑だったはずなのに、すくなくともこの1週間ばかりの夜はしっかり冷えていて、冷蔵庫に入れとくのを忘れていたビールでもけっこうおいしく飲めるのはいいのですが、ここで飲んでしまったらこの先を書くのがものすごいシンドクなるではないか、と気付く頃にはホロ酔い加減になっているわけで、すでに今日は打ち止めモードで「こころ」のページをチェックしたのです。
1日か2日に1度のローストチキン+パスタソース and/or シリアル+珈琲豆の買出し以外には滅多に部屋から外に出ないことと、昨日と今日(とたぶん来週月曜日までの明日)の区別がつかないことをのぞけば、毎日元気にやっています。
なんてことを超ヴェリ久しぶりに書いてみたのは、今朝のうちの母親からの電話をはじめとする「生きてるか」コール&メールへの返事なわけですね。
かしこ。
2003.9.8 (Mon)
▼ ツルはセンベイかめませんねん [words]
いっくら頑張ってもダメなものはダメ。
きっとそういう意味に違いない。とかなんとか思いながら、すでに眠りにつこうとする月曜日の正午すぎ。今日はしっかり真夏になったというのに...
てなことを日記に書こうと思いつつ、そこまでテクテク歩いていくと、「お前の名前はリストにないぞ」と切り出されたが午前の11時半。ここしばらく書いてきたものを、ここで受理してくれるはずなのだが、たしかに私の名前はリストのどこにも記されていない。
ひょっとして、しばらく前に申請していたステイタスの変更依頼と関係があるのかも、と思ったらやっぱりその通りの事態になっていて、しかし「ああ、そういうことね」とその場で簡単に変更はできないそうで、ついてはあっちに赴いて、カクカクシカジカで云々かんぬんの旨を申し伝え、エマージェンシーの措置を講じてくださいなと依頼してくれ、とのこと。
って、それをそのまんま先方に電話してくれたら話は終わりなんじゃないの?という気もしたけれど、問答無用で私語厳禁めいた雰囲気の前に、とりあえず書類をそこに出すことは出して、すごすごとあっちに向けて出立する弱気な私。これが午前11時50分。
カクカクシカジカな話が終わるやいなや、あっち側の担当者が言いだしたのは「本当の問題は、もう一つ向こうの方が処理をちゃんと完了させていないところにある。」
かくして私はもう一つ向こうの方に赴かねばならぬ仕儀に立ちいたる。
が、そっちはそっちで「いやいや、最初のところで受け取るのがスジだ」とか何とか言いださないともかぎらない。そんなことになれば、ラムズフェルドへのウラミツラミを胸に灼熱のバクダッドをパトロールした挙句、投げ込まれた手榴弾にふっ飛ばされてしまった米国志願兵みたいな状況ではないか。
ということで、家にもどって自転車に乗り、いつもより重いギアで全速力。
で、そこに着くころには汗はいっぱいかいているわ、足はガクガクしているわの大騒ぎ。ここ2日はマトモな食事をしてないし、昨日の晩は25「分くらいしか寝ていないこともあって、きっとメタメタ憔悴しているように見えるはず。それに、何がどうなってこうなったの経緯を話そうにも、ぜんぜん息が続かないから、もうそりゃ〜大変な事態に陥っているに違いない。
と、たしかにそのように受け取ったらしく、担当者は私を事務室の残したまま、責任者の部屋に入っていくとナンダカンダの説明をし、最初のところと連絡を取り、そこに届けた書類を正式に受け取ったとの言質をもらってから事務室に戻ってきた。それが2時ちょっと前だったから、家に着いてベッドに横になったころには午後の2時をまわっている。
バンジー・ジャンプでびゅ〜っんと落ちた後に、背後のロープにグイ〜ンッと引っぱられるのって、きっとこういう気持ちなんだろうなあ、と思わせるくらいに強力な眠気が襲ってくると、すでに私は列車の中にいる。
▼ 赤と黒で統一された車内は [dream]
成田エクスプレスのようだけど、椅子は山手線みたいに車体に平行して取り付けられていて、私はその中ほどの席に座っている。ときおり列車が停車する。列車の赤いドアがランボルギーニみたいに上に開くと、乗り込んでくる乗客(主として女性)がえらい勢いで騒ぎ出す。
車両の端っこの方でうつむき加減に座っているベッカムを発見したのだ。ちなみにドアが開いたあたりからバックにはJ-phone(じゃなくてvodaphoneだっけ?)の音楽が流れている。じつは車内にはベッカム(息子)もいて、私のすぐ脇でトラッピングの練習をしているのがうざったい。ちなみにベッカム(息子)は、以前マレーシア航空で隣に座っていたジェームズ(5歳くらい。マルコメ頭で前歯が欠けている)の顔をしている。
で、列車が走りだす。
で、列車が停まると赤いドアがランボルギーニみたいに...
と、これを3回繰りかえした後で目が覚めたのは、あっち行って、こっち行って、そのまた向こう、の記憶をなぞっていたんだろうか?
2003.9.9 (Tue)
▼ 夏の間に [cinema]
てか、いくらなんでもお盆の時期に、寒いからって「うどんすき」を食べてしまうような不思議な日々が、ほぼ途切れなく続いた約1か月半の間に7本の映画を観た。
▽ボウリング・フォー・コロンバイン
▽マトリックス2
▽ターミネーター3
▽トーク・トゥ・ハー
▽沙羅双樹
▽踊る大捜査線2
▽HERO 英雄
で、この中でいちばんよかったのが「トーク・トゥ・ハー」、いちばんよくなかったのが「ターミネーター3」。
「踊る...」は、いい映画を観ようとして観る類の映画じゃなくて、すでに見て知っているものをもう一回見る、という類の映画だから、そういう判断の枠内には入っていない。すでに見て知っている、しかしそれ自体はタダの子どもの銅像にすぎない「小便小僧」像のホンモノを、ブリュッセルで見て「おお〜っ」とやるのに近いと思う。
で、次によかったのが「沙羅双樹」。
なんだけど、折にふれて頭に浮かんでくるこの映画の一場面は、映画の良さとは直接には何の関係もない(と思われる)ものなのだ。
ランニングシャツにショートパンツで 縁側の畳(だったか?)に横になっている(座っている?)生瀬勝久。 画面の外から河瀬直美が声をかける。 「コーヒー飲む?」 「ああ」だか「おお」だか返事をする生瀬。 「う〜んと...」と口を開くと、ややあって「アイスっ!」
こう書くと何がなんだか分からないかもしれないけど、映画の場面もこれといって何がどうというほどでもない。だから、何かにつけてこの場面を思い出すのが不思議でしょうがなかったんだけど、この場面、ひょっとすると「すでに見て知っていた」のかも知れない。
▼ 俳句というのは [words]
何を見るかじゃなくて、どう見るかの話なのだから、何だって俳句(詩)になるのだ、てなことをカナダ人に言うと、「たとえばキュウリでも詩の題材になるのか?」と聞いてくるので、「そりゃもちろん」と答えてから連想した場面が、「沙羅双樹」のものとそっくりだったような気がしてきた。そこに「麦茶飲む?」てな声が聞こえて、「ああ」だか「おお」だか答えた後で、「う〜んと..」と間を置いて「温かいこぶ茶にして」とでも答えたとすれば、まるっきり同じだと言ってもいい。
この映画を観たのは、ちょうど今日のようにジトジトと小雨が降る肌寒い日の夕方だったから、しっかり暑く、クッキリとまばゆい日差しの中に、シャキッと冷たいキュウリがうまい、そういう夏の日の「記憶」を思いかえしていたのかも知れないのだ。
縁側に ひとり手枕 初きうり
2003.9.10 (Wed)
▼ キャサリンがやってきた [etc]
夜、買い物からもどってくると、門のところに猫のキャサリンがいた。
「お〜、ひさしぶり」てな感じで背中をなでると、やたらとうれしそうに尻尾を立て、一足さきに鉄柵の門のすきまをくぐると、まるでこちらを案内するみたいに、数歩先まで走ってからおもむろにこちらを振りかえる。
中庭を抜け、階段の手前で待っていたキャサリンは、やはりこちらより先に階段をかけ上がっては、「はい、こちらですよ〜」の態勢をとる。ドアを開けると一目散に部屋の中へ。彼女が最後にこの部屋で遊んだのは、もうかれこれ2か月近く前だから、久しぶりにここで遊べるのがよっぽどうれしいと見える。
遊ぶったって、たいしたことをするわけじゃない。
スクラムを組んだラグビーの選手どうしが「どりゃっ」とぶつかる時のいきおいで、こちらの手や足に向かって自分の頭をぶつけては、そのまま体をすりつけながら通りすぎる。これを何度も繰りかえす。
それが終わると、部屋の中のいろんなものに体をすりつける。まずはジュウタン。前足を劇団四季の「キャッツ」に構えて、右にゴロンといって、つぎは左。これを数回。何故だか無印良品の木製折りたたみテーブルが彼女のお気に入りであるらしく、テーブルの脚に何度も体をすりつけ、伸びあがっては、テーブルクロスの端に顔を押し付ける。
今度は部屋にあるいろんな「すき間」をのぞいてまわる。冷蔵庫と壁の間とか、ソファの下、それにソファと壁の間とか。
だんだん眠くなってきたので(って、これは私の話)、ソファに横になっていたら、キャサリンがおなかと胸の間くらいに乗ってきた。ノドをゴロゴロいわせながら「キャッツ」姿勢でゴロゴロしていたかと思うと、だんだん動きがおさまって、やがてスースーと寝息をたてはじめた。「気をつけ」をしたまま仰向けになって、そのまま両手でバンザイしたような不思議な格好で寝ているのだ。
と、寝息に微量のイビキが混じりはじめる。
なにしろ胸の上あたりにキャサリンの顔があるから、微妙な変化もしっかり聞こえるのである。「I(アイ)の字」で寝ている格好からは想像もつかないが、猫にだっていろいろ疲れることがあるのだろう。
記録的な猛暑はすでに跡形もない夜寒の牛津村に、イビキをたてて眠る猫が胸の上にとても温かかった。