2003.9.21 (Sun)
▼ Smokers die young. [words]
葉っぱだけが入った「ドラム」という煙草のパッケージは、A4を4つ折にしたくらいの大きさで、その真ん中3分の1くらいに28ポイントくらいのでっかい文字が横にならんでいる。
これはなかなかのインパクトだ。
「Smoking seriously damages your health.」とか「Smoking kills.」などと書かれていても、オゥ、こちとら日本人なんでェッ、なので、なんとなく間接的に響く無生物主語にそれほどのパワーを感じることはない。「Smoking when pregnant harms your baby.」てな具合に子どもを引きあいに出して無生物な響きを薄めてきた場合でも、こちとら妊娠してないんでェッ、と開きなおることができる。
そういうわけで、このでっかい文字の不気味な響きに対抗するために、こんなことを考えた。
この煙草は「ライト」や「マイルド」を謳っているわけでもないし、フィルターもなしに手巻きで吸うような煙草に長寿延命を求めている人がいるとは思えない。なので、こうした文言を特筆大書しなければいけないとすれば、それは「消費者には判断能力がまったくない」という前提条件に支えられていなければならない。
仮にその前提が正しくて、あらゆるリスクを太字で書かなければならないとする。
ならばビッグマックには「Hamberger munchers die young and fat.」という文字がならんでいなければならない。映画の予告編にも「本編はこんなに面白くないかもよ」てな表示を義務づける必要があるだろう。大統領や首相の演説を伝えるテレビ画面にだって、その3分の1のスペースを割いて「確たる証拠があって言ってるわけじゃない可能性もありよ」と警告を発する必要がありそうだ。
が、なんだかこの手の警告文の氾濫を助長しているような気がしてきたので、いたってシンプルかつ反論の余地のない議論への方向転換をはかることにした。
2003.9.22 (Mon)
▼ 絶対温感 [etc]
とでも呼ぶべき感覚を持っている人がいる。
「うお〜、寒いな。きっと18度くらいに冷えているに違いない」とか、「ひゃ〜、これじゃ8月半ばくらいの暑さじゃないか」などと、体感温度が実際の温度や季節ごとの平均気温にしっかりリンクしている人のことだ。
その一方で、まるっきりそうした感覚を持たない人がいて、それがまさしく私のことである。
「うお〜、寒いな」とは思っても、それは昨日の(あるいは出てきたばかりの部屋の中の)温度と比較して寒いというだけの話で、それが何度くらいなのか見当がつかない。それだけじゃなくて、その温度差がどれくらいなのかもよく分からない。0度と30度だったら、その違いは想像できるけど、たとえば18度と22度になると、22度の方が温かいくらいの「推測」をするのが精一杯。
「明日は10月下旬なみの寒さになりそうです」てなことを9月半ばの天気予報が言ったとすれば、私の頭の中に浮かぶのは(10月下旬マイナス9月半ばの日数)X(下がり基調の温度の傾き)のグラフ映像だけで、縦軸に温度を示す目盛りも刻まれていなければ、その数式からはじきだされるところの気温がもたらす実感もない。
昼すぎから降りだした、雨粒がフワフワと風に流れる程度の雨が、3時をすぎる頃には本格的なザ〜ザ〜降りになったと思っていたら、いつの間にか雨脚はだんだんと弱まっていて、6時ごろには雲の間からきれいな夕陽が差しこんできた。
これさいわいと原っぱに面した窓を開け放って煙草を吸おうとしたら、顔に当たる冷気に軽い平手打ちの勢いがある。すかさず冷気はトレーナーの中にまでもぐりこんできたらしく、急にものすごく寒くなってきて、ジャケットをはおっても追いつかない。
もちろんそれが何度くらいなのかは分からないし、いつぐらいの寒さに相当するのかも見当がつかない。が、日の暮れきらないうちから暖房をつけてしまうくらいの寒さなのだから、去年の10月、この部屋に越してきてから2〜3日後に、真っ昼間から暖房をつけてしまった時ぐらいの温度であるに違いない。
私の温感はオブジェクト指向なのだ。