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渋谷は人が多すぎる。特に週末はなおさらだ。

という文章は、実のところ、厳密な正確さを欠いている。たしかに渋谷は人が多すぎる。でも、その「混雑」は、人が多すぎることだけでなく、それがてんでバラバラに歩いているところに原因がある。

そもそも道が細い。立ち止まって店先をのぞく人と、そこを通り過ぎる人、それにビラ配ってる人にプラスしてナンパしてる人もいる。

が、「混雑」を引き起こす一番大きな要因は、厚底のブーツ(この季節はサンダルか)を履いて、携帯電話で話をしながら歩いている女の子にある。厚底の靴が進路をフラつかせる上に、話に気をとられているから、人の流れを読んでいない。ぶつかりそうになると、こっちが悪いような目で見られる。蹴りを入れたくなるぞ。

東京都には迷惑防止条例という立派な法律があるのだから、石原都知事は一刻も早くこれを取り締まるべきだ。外に向かってNOと言うだけでなく、内にもその声を響かせることが必要なのである。

誰がために鐘は鳴る。それは汝のためなり。


とか何とかいった内容を、たとえばエコノミストに投書しようと思ったとする。そこで問題になるのは、「蹴りたくなる」んじゃなくて、「『蹴り』を入れたくなる」のニュアンスをどう英語にするか、というのもあるけど、ここで一番肝心なのは「厚底」をどう訳すか?という点だ。

「厚い」がthickで、「(靴)底」がsole、だから、thick soled shoesと書いたとする。でも、L.L. Beanのフレンチ・レインシューズあたりを想像されてしまったら、事実関係の要がまったく伝わらない。


(つづく)

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