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この映画では、二つの点が印象に残った。

まず、代用教師を演ずる13歳の女の子、ミンジの「しゃがんでる」姿。映画の中で彼女はやたらとしゃがむんだけど、その「しゃがんでる」姿がとてもいい絵になってる。つまらなさそうだったり、不安げだったり、へとへとに疲れていたりと、いろんな状況でしゃがんでいる姿が、本当にさまざまな表情を見せる。やっぱチャン・イーモウはカメラマンな監督なんだよね、こういうとこ。

それからも一つ。この映画ではいろんな形の「ネゴ」が描かれる。代用教師の給与は誰が払うんだとか、レンガ積んだから手間賃くれとか、お金あげるから駅まで一緒に来いとか、もうとにかく、「あの子を探し」出すまでのネゴの話なのである。で、そんなネゴ場面を観ていて驚くのは、大人−子供、年長者−年少者、相手の境遇などなどの付帯的な条件が一切考慮されないこと。

こちらの条件はできるだけ最後まで伏せる、相手が誰であれダメなものはダメ、カウンターオファーを受け入れる際には交換条件を付ける、交渉が不成立に終わった場合の代替案(いざとなったらバスにタダ乗りする)も用意する、なんていうハードネゴのイロハが、物心も付かない子供のうちからビシビシ叩き込まれる。

なるほど。

以前、中国の無錫に工業団地向けに高圧電力ケーブルを納入・施工するプロジェクトに関わったことがあって、それはそれはたいへんな目に遭ったんだけど、その苦労の(少なくとも)半分はここにあったんだな。


August 19, 2000

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