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チャン・イーモウ監督の新作には、アルモドバルの「オール・アバウト・マイ・マザー」以上に驚かされた。

「紅いコーリャン」、「黄色い大地」、「秋菊の物語」などの映画を撮ったカメラマン出身のチャン・イーモウという人は、芸達者な役者を使ってスタイリッシュな画面をビシッと決める、というイメージがあるけど、「あの子を探して」では、全員素人を使い、手持ちカメラでドキュメンタリー風に作られている。路線が180度違うのだ。ベネチア映画祭で2回グランプリを獲得することそのものがとってもすごいことだけど、まるっきり毛色の違う映画で2回なんだから驚きである。

ストーリーはいたって簡単。チョークにも事欠くような貧しい山村の学校に代用教師としてやってきた13歳の女の子が、街に出たまま行方不明になった生徒を探す。おわり。

でも、映画のいたる所にすっとぼけたユーモアがあふれていて、観ていてすごく楽しい気分になる。台詞回しや表情、立ち振る舞いなんかがものすごく自然なので、きっとカメラを回しっぱなしにして、後から編集したんだろうな、と考える一方で、それにしてはカット割りが妙にしっかりしてるのはヘンではないか、とも思ったりする。

後で調べてみると、撮り直せるところはすべて撮り直したらしい。ぜんぜんそんな風に見えない。すごいですねえ。


(つづく)

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