つい最近、いちごう君が自分の二十数年間の人生を振り返ってみて、「日本文学をぜんぜん読んでない」ということに気が付いたそうで（遅いな）、「何を読んだらいいか教えてくれ」と聞いてきた。

実は去年の夏にも同じようなことを聞かれた。サマー・セッションなる夏期特別授業で日本文学概論を教える先生から「あなただったらどの作品を選ぶ？」みたいなことを聞かれたんだった。

去年もスパッと返答することはできなかったけど、今年はさらに状況が悪化してる。

なにしろここ数ヶ月間で読んだものといえば、フランス人の書いた「監獄の誕生」の英語訳（ならびにそれに類するもろもろ）と、「職組長のための品質管理入門（ならびにそれに類するもろもろ）」、フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー（英語）」、ルナールの「博物誌（日本語）」、それからエホバの証人の機関誌である「目覚めよ！」なわけだから、「これぞ日本」なものは何かと聞かれても困ってしまうのである。

と、その時は思ったんだけど、実はその間に「これぞ日本」なものをちゃんと読んでいたことに気が付いた。

紀貫之が書いた古今和歌集の「仮名序」なのだ。（それにしても、何でこんなもの読んだんだろう？）