天野忠という詩人がいる。とてもいい詩を書く。 これは彼の「何故」という詩。すごくいい。
そのとき 遠い空に鈍いひびきがふるえ みるまに轟然とくれあがり そいつは 学校の屋根いっぱいのつばさとなった 中学生の読むリーダーの声がふっ消され 首を縮かめて みないきをのんだ グァーッと莫大なひびきで いつものように 教室は揺れた やがて とぎれた生徒の言葉を補うために 先生はしずかな声で“why”と云われた。 (思潮社 現代詩文庫85 「天野忠詩集」 p.141)
August 15, 2000