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渋谷は丸井のヤング館に入ろうとしたら、お揃いで黄色いミニの浴衣(そんなものがあるのか)、これもお揃いで歯磨き粉を固めたような白くてカカトの高いサンダル(これはサンダルというべきか)、それにこれまた二人とも黄色い髪の毛の女の子が歩いていた。

日本社会のポストモダンな側面を研究する学者だったら大喜びしそうな二人が入っていこうとするデパートには、しかし6Fにすげえ昔風な時計屋のおじさんがいる。

6F時計コーナーの片隅の、(本当に)柱の陰に一坪くらいの空間があって、電池交換・修理・オーバーホールをやっている。

片側だけパカッとレンズが上に持ち上がる眼鏡をかけた50代後半くらいのおじさんが、狭い空間の向こう側からびっこをひきながら歩いてくると、まず時計の文字盤側を見る。ひっくり返して裏側をじっくりながめる。で、くるっと振り向くと、小さな引き出しのいっぱいついた棚を載せ、コンパクト万力を備え付けたテーブルに持っていって、何やらさらなる検分をしてる模様。後ろ向きだから何を調べてるのかわからないのだ。

しばらくして戻ってくると、「電池交換とオーバーホールで1万2〜3千円ですね」とのこと。値段に幅があるところも何となく昔の「時計屋さん」っぽい。

「マルコビッチの穴 」みたいなところで頑張ってるおじさんにエールを送るべく、もともと1万5千円でこの時計を買ったことは、あんまり深く考えないことにした。


August 1, 2000

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