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4〜5年前の話。
仕事で付き合いのあったニューデリー生まれのインド人のおじさんがこう言った。
「インドは貧しい国だと思われてるけど、実はそうじゃない。」
やっぱ芸術とか哲学とかの話になるんだろうなあ、そして、話がそっち方面に行ったら、その先は独演会になるんだろうなあ、ちょっと困ったなあと思っていると、
「インドは本当は豊かな国なんだ。貧しかったのは最近400年だけの話。」
まいった。
「最近400年」というのが、東インド会社設立以降だということだけでもかなり「う〜む」な話だけど、それ以上に、このノリでいけば、「ちょっと前」くらいが800年前、「だいぶ昔」が1500年前くらいの勘定になりそう。
「最近の日本はたるんでおる。つい関ヶ原くらいまでは下克上の緊張感があったではないか...」という嘆きを聞いたこともないし、「この間、新古今が編纂された頃くらいまでは日本の文化もあまり大衆に迎合してなかったのに、モーニング娘のLOVE MACHINEは何だありゃ!」という憤りに出くわしたこともないから、日本はインドと比べて時間の目盛りがずいぶん小刻みにできている。
こういう「発見」がいっぱいあるからインドの人と話すのは楽しい。が、いずれにしてもこのペースに巻き込まれたら、またしても独演会が始まってしまうではないか。奮起した私はムリヤリ映画の話に持ち込もうとする。
でも、相手は臆する様子もなくこう切り返してくる。
「スターウオーズとか観ると、たしかに特撮は面白いと思うけど、ストーリーは『マーハバラータ』みたいなもんだよね。」
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