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ジョン・メデスキ(ピアノ)、ビリー・マーティン(ドラム)、クリス・ウッド(ベース)の3人組である MMW (Medeski Martin & Wood)の TONIC というアルバムを朝から晩まで聴いている。


ニューヨークはロウアー・イーストサイドにある座席数150席という小さなクラブ「TONIC」でのライブ。これがとんでもなくいい。

とても親密な空間で、しかし、ことジャズの演奏に関してはやたらと辛辣な聴衆(なにしろこのクラブはジョン・ゾーンとかが出演するらしい)を前に繰り広げられたライブセッションは、リラックスした緊張感に満ちあふれていて、私の日常(メンタルに緊迫してるはずなんだけど、キーボードを叩く手はじっと休んだまま)との間にうまいこと対照を形作って、モノトーンな毎日に刺激を与えてくれる。

まさしく TONIC だ。


そんなある日、突然スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」を読みはじめたら、こんな一節に出くわした。ギャツビーに頼まれた主人公が、いとこのデイジーをお茶に招く。すっかり待ちくたびれた頃、ようやくデイジーが姿を見せる:

葉の落ちたライラックの木々にしたたる雨の中から、大きなオープンカーがあらわれて、こちらに向かって進んできた。車が止まり、首をかしげたデイジーが、ラベンダー色の三角帽子の下から僕を見つけると、あざやかな、しかしうっとりとした微笑みを浮かべた。

「ホントにここに住んでるのよね?」

降りしきる雨に響く、浮き立つような彼女の声に、僕の心は激しく波打った。しばらくの間、僕の耳はその音をもう一度最初から最後までたどりなおしていた。言葉を口にするのをすっかり忘れて。

例によって日本語のちゃんとした訳が手元にないから、とってもいい加減に訳してるけど、だいたいの雰囲気は分かるよね?


(つづく)

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