香港自在
Vol.7 ツアー編
いいかげん1人遊びのネタも尽きて、初めてツアーというものに参加してみることにした。「あなた、映像とかそういう関係の人でしょ」いきなり、私の職業を言い当てる陳さん。
アンタは占い師か!?
「私、前に奥田瑛二さんと仕事したヨ」などと、訊いてもいないのに色々昔話をしてくれる。
バスが、建設中のマンションを通り過ぎるたびに、
「ここ、前はいくらしました」「ここ、今は半額になってます」と自信をもって解説してくれる。
陳さん自身はマンション持っているのか、と訊いたところ「持ってたらこんな仕事してないヨ」との返事。
出世しない一番の原因は、その断定好きな性格にあるんではないか、と思うんですけど。
バスはまず最初に、落馬州というところに到着。展望台から、香港に隣接する深せん経済特区を見渡す。
噂には聞いていたけれど、実際、遠目にもはっきりとわかる高層ビル群を目の当たりにし、あまりの発展ぶりに驚く。
(詳しくはVol.8 中国覗き見編)
次にバスが向かったのは、客家(はっか)の村で有名な錦田の吉慶園。ここに住んでいる婆さんたちは、
あの客家特有のつばの大きな麦藁帽をかぶり、観光客相手に1枚10HK$で写真を撮らせる、という
強気な商売をしていた。同じツアーに乗り合わせた初老のご夫婦は、当然のように婆さんたちと記念写真を
とっていたが、私はパス。
やっと、今回のツアーのハイライト、元朗(ゆんろん)に着く。
おいしい老婆餅の試食を済ませると、20分の自由時間。慌てて地図を頼りにうろうろし始める。
九龍の市街地から比べると、随分のどか。お年寄りがゆっくり歩いている。 とはいってもゆっくり見ている時間はないので、
適当に果物を買ってバスに戻ると、
「あれ、何も買ってないね」と陳さん。
「果物を買いましたよ」とビニール袋を見せた。
後で気づいたが、同乗の夫婦は、菓子などの土産品を両手いっぱいにぶら下げていた。
夕方、バスは青衣大橋を渡って帰路につく。しかし、相変わらず陳さんの断定は続き、私の性格について
「あなた、人の話すぐ信じない。耳から聞いたことを、いったん頭で考えてから行動する、だから遅いね」
だから、なんなのよっ(`m´#)