|
|
第2次大戦を舞台に、アドルフと名の付く3人の男の生き様を描く超大作。
1935 年ベルリンオリンピックの最中、取材に来ていた日本の新聞記者峠草平は、同じくベルリンに留学中の弟に、重大な事が書かれた文書を渡したいので会いたいと告げらる、しかしその連絡を聞いた後間もなく弟はナチスらしき組織に殺害されてしまう。弟の死と文書の謎を追っていた峠草平もナチスに命を狙われるが、弟は殺害前にその文書を日本の恩師の元に送っていた事が判明、峠も命からがら帰国しその恩師の住む神戸で文書を入手、そこにはヒットラーにはユダヤ人の血が混じっていると言う事が詳細に書かれていたのだ。 |
|
|
そして時同じく日本人とドイツ人の2世アドルフ カウフマンと、神戸のパン屋でユダヤ人のアドルフ・カミルは奇しくも親友として同じく神戸の空の下で出会っていた。
アドルフ カウフマンの父ヴォルフガング カウフマンは本国からの指令を受けて、その文書の行方を追っていた、ヴォルフガングはアドルフを国粋主義者として育てようとしていたが、アドルフは、自分と同名のユダヤ人カミルと親友だったため、反ユダヤ政策を唱ったナチスの政策に反発を感じていたが、ヴォルフガングの一方的な策略でドイツのナチス養成学校に入学させられてしまい、ナチスの思想に心底侵食されて行ってしまう、そして大人になったアドルフは文書奪還の任務を帯び、戦渦の神戸に帰国するが…。
と言う物凄いストーリー展開でグイグイと引っ張られて行く、物語の後半中東問題がどのようにして起こったかと言う歴史にも触れ、分りやすくしかも納得の行くストーリーで教えてくれているし、単に戦争反対を唱う前にこれを読み、どのようにして独裁政権が崩れて行ったか、どのようにして中東での長い戦いが始まったかを学べば良いと思った。
何度か読んでいるが、最近また読み直して手塚治虫の優れた演出性と、新たな手法をどん欲に取り入れるクリエイターとしての手腕にとにかくイタイ程才能を感じた超秀作マンガである、またこの作品は、少年誌に掲載されていたのでは無く週刊のジャーナリズム雑誌「週刊文春」に掲載されていた、と言う所も特筆しておきたい。連載当時、後半は手塚の体調不良で大幅にカットされたが、単行本化される際描き加えられたそうだ、この作品は84〜85年に描かれているが、ストーリーやキャラ、絵柄等に全く古さを感じない所も驚く点である。 |
|
| (写真1) |
 |
(写真2) |
 |
(写真3) |
 |
(写真4) |
 |
(写真5) |
 |
(写真6) |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
1:峠草平
埼玉出身の新聞記者、大阪の大手新聞社で記者をしている。弟が留学先のドイツで謎の死を遂げて以来、奇怪な事件に巻き込まれる。弟が残したヒットラーの秘密文書を巡って、ナチスや特高等に追われる半生を歩むが、後に由季江未亡人と運命の出会いをする。
2:アドルフ カウフマン
ドイツ総領事館員のヴォルフガング・カウフマンの息子、後にヒットラーユーゲントに入学し、優しかった幼少期とは打って変って徹底した国粋主義者に変貌、心底ナチス党員になって行ってしまう。
3:アドルフ カミル
神戸でパン屋をするユダヤ人一家の一人息子、少年期のアドルフ カウフマンの親友で、カウフマンがナチス党員になって帰国した後再会するが、皮肉な歴史の為に友情は崩れ去る。
4:アドルフ ヒットラー
言わずもがな、歴史上最大の独裁者。第2次大戦当時ドイツ国内を牛耳っていた「ナチス党」の最高指導者であり総帥。今作はこの人物を中心に3人のアドルフが歴史の流れに翻弄されて行く人生を描く。
5:由季江
ドイツ総領事館員のヴォルフガング・カウフマンの元妻、すなわちアドルフ カウフマンの母。元夫のドイツ人ヴォルフガングのドイツ人としての生き様を見届けつつも、日本人に戻る事を心の中では望んでいた。そこえ峠草平が現れ彼女の人生は180度変って行く。彼女も第2次大戦当時ドイツと日本の歴史に翻弄され悲しい人生を送った1人。
6:アセチレン・ランプ
ナチスの特別警察「ゲシュタポ」の司令官で、ヒットラーの極秘文書を最後まで執念深く追い続ける。手塚作品には極初期から登場しているキャラクターで、言わば手塚作品中の「名役者」である。アセチレン ランプが過去に登場した作品を一部紹介すると…。
1.ロストワールド(前世紀) 2.平原太平記 柳生周馬(やぎゅうしゅうま) 3.太平洋]點(ポイント) エリック 4.アドルフに告ぐ ランプ 5.アニメ マリンエクスプレス 6.アニメ ブラック・ジャック『人面瘡』(じんめんそう) |
|