14)講談社「AKIRA CLUB」発行:1995年6月6日 定価 3,500円
 大友の面白さは、単に「アキラ」だけでは無く、いしかわじゅんや吾妻日出男等の漫画家と同様に漫画界の「ニューウェーブ」と言われた時代、単に販路が少なくマニア向けとされていた時の物もかなり面白いストーリーの作品が揃っている。

 その時代の大友漫画の面白さは70’〜80’代初頭の暑苦しい時代背景を上手く表現している所だとも言えるが、当時の作品にそう言った匂いを感じるのは、作品全体に「内ゲバ」「学生運動」の匂いが色濃くあるのもその要因の1つだろう。更に面白いのは登場人物に凡人が多く、非常に日常的でどうしようも無い人物が多い。
しかし、その日常にいかに自然に突拍子も無い非日常が混入して来るか…、が当時の作品のキーワードになってる。そこになんとも言えない違和感を感じて病みつきになるのだ。それ以降…つまり「童夢」以降は、不思議な事に「あちらの世界(河合隼雄の『子どもの宇宙』から引用するなら)」から来たばかりの子供と、「あちらの世界」に間もなく行く予定の老人をテーマとした作品が多く登場するが、どちらにせよ全作品シナリオがかなりしっかりしているので、その突拍子の無さが自然に読み手に伝わって来るのだ。言ってみれば短編全部がショートフィルムの様な進行と言う訳だ。
こう言った点は長篇で強烈なシナリオ性を見せる手塚治虫とは少し違うものの、絵柄とシナリオ性で読者を惹き付けるところは、大友が手塚の正継であるとも言える。ちなみに「ユリイカ(88’発行)」と言う雑誌で、手塚治虫が大友克洋について「ルーカスのILMに行った時、『アキラ』を見せられ、『こう言うのをアニメにしたい』と言われた。その時『キャラクターが日本人過ぎないか?』と聞いたら『問題ない、このカミソリの様なタッチを動かしてみたい』と言っていた。」と書いている(超レアな文章)。
また、「メビウス以降の絵のタッチの模倣達に埋もれがちで損な立場だ。」とも書いている。大友克洋は1973年にデビューして以来こう言った大物作家にも意識される存在ではあった様だ。
更にその「ユリイカ」の一節で面白い下りがある。矢作俊彦と言う作家が、ある編集長に「大友の作品をフランスで売ろうと思う。これぞ手塚の正継でしょう。」と言った所「そんな事を言うと大先生が気を悪くするぜ。あまりお好きじゃ無い。なにしろ絵に表情が無いと言っている。」と言われたそうだ。ちなみにこの矢作俊彦と言う作家は、「気分はもう戦争」の原作を書いた人で、大友ともタッグを組んでいる。

 ここまで書いて何が言いたいかさっぱり分らないが、とにかく「アキラ」は勿論、それ以外の大友漫画も読んで欲しい。多分ここのサイトを御覧のみなさんの生まれた頃、もしくは生まれる前の作品がほとんどだとは思うが、かなり今の若者にも共通する感覚で描いているので是非探して欲しい。あとは僕が一応持っている大友漫画の1部を紹介しておく。僕もそんなに捜しまわって購入した物では無いので大手の本屋等に行けばあるかと思う。是非参考にしてディグって欲しい(物によっては絶版もあるので御了承下さい)。

(写真1) (写真2)
その他映像等の作品を紹介すると「幻魔対戦」のキャクターデザイン(最近DVD化された)、「迷宮物語」(これも最近DVD化された)の中の1エピソード「工事中止命令(写真1)」、劇場用アニメ「ロボットカーニバル(写真2)」、「彼女の想いで…」等のエピソードも収録されている映画「メモリーズ」、変った所では宇部製作所のCMに出ていた犬のロボット「UBE DOG(写真3)」のデザイン、最近では手塚治虫の「メトロポリス」の映画化にあたり、その脚本等も手掛けている。手塚治虫の作品を手掛けているのが因果性も感じる事が出来て面白い。是非お勧め。監督として自主で実写の16MM映画も撮っている、「じゅうを我らに」と言うタイトルなのだが、これのポスターを前々回紹介した「かっこいいスキヤキ」の作者の久住昌之が作っていて、出演もしてるそう…、誰かビデオとか持ってたらダビングして! (写真3)
1)双葉社「ショートピース」
発行:1986年5月15日 価格 686円
(復刻)
2)双葉社「ハイウェイスター」
発行:1979年10月13日 価格 667円
3)双葉社「さよならにっぽん」
|発行:1981年7月16日 価格 667円
4)双葉社「気分はもう戦争」
発行:1982年1月24日 価格 819円
5)双葉社「童夢」
発行:1983年8月18日 価格 790円
6)CBS・ソニー出版
「ヘンゼルとグレーテル」
発行:1981年10月25日 定価 1,600円
7)講談社「AKIRA 1」
発行:1984年9月21日 価格 1,000円
8)講談社「AKIRA 2」
発行:1985年9月4日 価格 883円
9)講談社「AKIRA 3」
発行:1986年9月1日 価格 883円
10)講談社「AKIRA 4」
発行:1987年7月10日 価格 1,000円
11)講談社「AKIRA 5」
発行:1990年12月11日 価格 1,068円
12)講談社「AKIRA 6」
発行:1993年3月23日 価格 1,165円
13)講談社「彼女の想いで…」
発行:1990年4月23日 定価 1,500円
15)講談社「KABA」
発行:1989年9月1日 価格 4,000円
16)講談社「SOS大東京探検隊
」発行:1996年2月6日 価格 1,165円