KING3LDK氏とラテンラスカズ氏による対談形式コラム。ヒップホップカルチャーを掘り下げてます。


第十二回街角3K新聞号外

KING3LDK:
(以下3)
オッス!オラ3LDK(ドラゴンボール風)!、今回この『3K 新聞 号外』では、映画『ブレスコントロール』と言う、ヒューマンビートボックスの歴史を綴ったドキュメンタリーを特集しようと思います。で、それにも出演している日本人ヒューマンビートボクサーで、ロボ宙のアルバムにも参加した、アフラ君にヒューマンビートボックスやこの映画についてインタビューしてみる事にしました。前置きが長かったんですが…、まずアフラはどう言った感じで「ヒューマンビートボックス」に目覚めたの?、それと「ヒューマンビートボックス」って分かりやすく言うとどう言った物なの?、できるだけ詳しく教えて下さい。
アフラ:
(以下A)
どうも、こんにちわ!何でも聞いて下さいのアフラです。 ヒューマンビートボックスに目覚めたのはたしか96年、僕が16歳の時。高2の夏でした。姉と一緒に観光したニューヨークで初めて生のモノを体験しました。セントラルパークで毎年催されるサマーステージであのTHE ROOTSが『ビーツ、ライム&ライフ』を出したばかりのトライブの急遽キャンセルの為、代わりの出演が決まったのでした。その時の野外ステージで1000人まるごとマイク一本でロックしてたのがRHAZELでした。
彼がソロをショウの中盤に披露し、客がはしゃぎまくって『プリモのビートやれ!!』てリクエストをし、しっかりそれに答えてグループホームのSUPA-SUTARを口でやってしまい。ルーのショウは彼一人で持ってかれてしまいました。まず、どうやって、人間の口からレコードから出るあの野太い太鼓の響きや、ベースライン、さらには言葉をからめて同時に出せるのか全てがマジックでした。そこに黒人、ヒップホップ、ビートジェネレーションがキーワードだった16の僕にビートボックスという強烈な爆弾は、後遺症となってしまいました。 ヒューマンビートボックスとは口、舌、鼻、咽、を呼吸の使い方とリンクしてリズムや効果音などを作りだす作業のことです。それにいつでもどこでもビートボックス。ラッパーがいればいつでもどこでもショウタイム。ビートボックスは常にヒップホップを肌で感じれるエネルギーやと思います。
3: まず16才でNYで生のビートボックスに触れられたのが良い切っ掛けですね、(グループホーム:94’クラシック)しかもそれがRHAZELとなるとかなり良いでしょう。ちなみにRHAZELとはROOTSと言うバンド形式のHIPHOPグループのメンバーで、担当は勿論口スクラッチとビートボックス。彼自身もソロアルバムをリリースしており、これが当時吃驚する様な出来栄でHIPHOP関係者全員が度胆をぬかれた。まぁそのライブの衝撃からビートボックスに入ったのは納得なんですが、この『ブレスコントロール』見る限りでは、やってるとこ見て「じゃあ真似してみるか」では出来無さそうな感じですけど…、例えばWISE(STETSASONICのメンバー:プリンスポールがいた、これまたバンド形式のヒップホップグループ)が映画の中でストローを吹きながらメロディーを付け、口ではビートボックス…みたいなのとか、真似して出来ない…。アフラはどの辺からまず練習して行ったの?
A:
そうそう、WISEのストロー技とかカッコよかった。ディジリドゥとかハーモニカとか使う人もいるけど、僕は口一つでやるのに今は集中してます。で、最初に練習したので覚えてるのは、グランドロイヤルって雑誌についてたソノシートでビズマーキーの30秒くらいのビートボックス(インピーチのビートのパターン)が入ってたんですね。ビートボックス音源が家にはほとんど無かったので、それをじっくり聞いてました。それに合わせながらです。そん時は何処で息してんねやろうって感じやし、音はそんな太くでないし。あと来日したルーツのショウを盗録してRHAZELのビートを聞いてはひたすら真似っこ。その頃からベース音とか声とか同時に使うワザができたらかっこいいなあって練習してました。ほかにビズの「1、2」とかもよく聞いてました。ビートの隙間に言葉をいれて一人でビートとラップしちゃってるやつですね。はじめた頃はリズムにノルのも難しくッて、キックのあとにすぐハイハット3つそんでスネアって、紙にいちいち「キハハハスハハ」て書いて練習してました。あとは口がかってに慣れて気付いたら出てた見たいな感じです。ほんま毎日やってましたね。通学のチャリンコとか最高に気持ち良かったですよ。あと学校の廊下とか響くし、家でやってたら家族には嫌がられてましたけど。
3: へぇ〜、雑誌「グランドロイヤル」か、これも説明すると、過去ビースティーのレーベル「グランドロイヤル(雑誌と同名、現在どちらも残念ながら活動無し)」が活発に動いていた時期に発行されてて、リーペリー等も特集した名雑誌で、ソノシートが付いていた回等もあり、BIZのヒューマンビートボックスがそれに収録されてた。確かにBIZもイイお手本になりそう、でも彼の出すスネアの「カラカッ」と言うか、凄い音は肺活量が違うのか、中々出せない。その後時代は変りどんどんニュースクーラーのビートボクサーが出て来る訳ですけど、通学途中でビートボックスか…世代が違うなぁ…家族はビックリするわな、でもこの前大阪でオヤジに「音太なったんちゃうか?」って言われてたやん(笑)。で、やっぱアフラはROOTSのライブが入り口みたいやね、 ちなみにこのROOTSと言うグループはもう一人ビートボクサーがいる、こいつも最近ソロをリリースした「スクラッチ」と言うヤツで、何でもグラフィティの聖地フィラデルフィア(B-BOY風に言えばイラデルフィア)出身で、と言うかフィラデルフィア意外であんまり見れないんでしょ?、しかもどっちかと言うとRHAZELよりこいつの方が上手いと…。
A:
上手いも何もDJが出す音まるごと口から出すんやから。コスリはもちろん、逆回転、言葉の乗ったビート、そしてオールドスクールネタの宝庫。MPCの音もバッチリ。はやりネタも押さえてるし。やっぱり彼のモットーやと思うけど同じルーティンはショウで絶対にしないというとこがRHAZELを上回ってると僕は個人的に思う。でもRHAZELのキックの太さとレゲエは誰も勝たれへんやろなー。
3LDKさんは誰が好きですか?レゲエ界とかではいないんですかね、ビートボクサーって。
3: 僕は基本的にオールドスクールっぽいのが好きなんですけど、やっぱ映画にも出て来てるファットボーイズのバフことダレンの出すバスドラの切れ味は良いね、ドラムマシンで言えばシーケンシャルサーキットって所かな、後はこの前にも出たビズ、恥ずかしながら僕も少しだけステージでビートボックスをしてた時期があってね、それの原形はビズマーキーでした。で、最近は聞く所によるとMPCやSP1200の音を出しわける人までいるらしね、確かにスクラッチのアルバムの音は全部口でやってるけどMPCのあの張りがあった、そう言えば最近レゲエもMPCやからビートボクサーいてもおかしく無いねんけど…、あんまり聞けへんなぁ、でもレゲエは芸達者揃いやからおるとは思うけど。ちょっと話しを映画に戻すけど、アフラの出てたシーンであと2人出てるでしょ?、EMANONとD.O.Aって言う人、この人達とはどう言う関係なんかなぁ?
A:
まず彼ら二人で『MB2000』っちゅうグループを組んでて。なんかアドロックのユニットと似た名前やけど、全く関係なくて、この二人に人種混合ではいることになったのがBABA(白人のヒゲ、映画でデイジリドゥかましてるやつ)と俺、そんでケニーマハメッド(映画に未出演、これまた、RHAZELのアルバムのシークレットトラックでドラムマシーンそのままのような固い音出してたヤツ)。
これでRHAZELの勢いに便乗して行こうってなったのでした。ところが皆人間が違い過ぎたり、ケニーが上手すぎて結局食われたりで、解散。でもみんなビートボックスはロックオン、続行中。
3: BABAと言う人は前に某BBS等でもアフラが話題に出してた人やんね、映画では何かアボリジニの楽器かでっかいパイプみたいのを「ヴォ〜〜ン」と吹きながら、更に咽でドラムの音を出す技を披露してた、ちなみにディジリデゥと言うのはこの楽器の事?、そして劇中で少し思ったのはやっぱ白人種の出すドラムの音はちょっと細いかなぁ…と。とにかくEMANON&D.O.Aで「MB2000」と言うユニットとして活動してる、アフラはそのメンバーに入ってるの?、感じ的にはエクストラでもかなり親し気な感じで一緒にやってそうなんですが?、ちなみに一緒にやってるとしたらいつ頃から一緒にやりだしてどの辺の地域でやってるの?
A: ディジリドゥというのはオーストラリアの原住民AKAアボリジニーの楽器でBABAはアメリカとオーストラリアとのハーフなのでそう言うアイデアが思いついたんやと思います。白人種の出す音は細いとはたしかに僕も出会って来た人達はそんなに低音ブリブリちゅうのは聞かなかった。ヤッパリ口の中の広さなんかナ、それとも首か?わかりませんが僕も細いです。ここは首で米俵でも上げ下げする特訓をしないと。MB2000はもう存在してるのかはっきりしてません。EMANONも D.O.Aも別々で遣ってるのかな。今こっちで始まったビートボックス&ポエットナイトではEMANON一人で出てたし、僕自身も一人でやったり、ブレイクダンサーと組んでやったり。MBでやったのは数えるほどでマンハッタンであったライブDnBバンドと一緒のイベント出たりしてました。最近はそのビートボックス&ポエットナイトのおかげで、またいろんなビートボクサーと知り合いになりました。注目してるのはボビーマクファーリンというジャズで有名な人の息子、テリーマクファーリン。彼はエフェクトを使って音を機械っぽくしてそれをループさせ、ベースを重ね、それにまた効果音を重ね、DnBやハウスに仕上げゲストにラップやポエットを乗っけてもらうというライブをしてます。またコレが男前でブサイクめなビートボクサー群のなかでは格好の花形です。あとユーリというハゲ気味の白人のおやっさんは西海岸よりおこし頂いて、再来週あたりNYでビトボックスミュージカルなるものを敢行するらしいので拝見しに行ってきます。なかなか熱いビートボックス事情でよこちらNYは!
3: うむうむ!!、中々面白いですな、HIPHOPのアンダーグランドはまだまだ広大かつのんびりと拡大して行ってると言う事ですな、ボビーマクファーレンの子供がビートボックスやってるのはビックリ、DNAには逆らえないと言う事か、やっぱミュージシャン家族って何か良いなぁ(意味不明)、ちなみに豆知識でNAS のオヤジはMJQか何かのジャズグループで演奏してたオルダラと言うジャズミュージシャン、2年程前にファーストアルバムを出して今年セカンドを出した。あとEMANONって僕の記憶が正しければ、キースヘリングの絵のジャケットでシングルをリリースしてる、プロデューサーがアフリカイスラムで、結構前やけど…。映画の中でもそう言うシーンもあったね、EMANON自身がそのジャケットを見て「オー!スメル ライカ ステューディオー(笑)」とか、あのキースヘリングの絵はキースヘリングがEMANONのショーを見て感動して、その場でサクサクっと書いてくれた物をジャケットにしたと言う逸話があるそうです、なんかHIPHOPのロマンチックな部分やね。で、そろそろ文字数も多くなって来たんで最後にもう一つ聞いておきたいんですが、今アフラはブロードウェーに出演中とか?、ブロードウェーって凄く無い?それはどう言うショーで、どう言った経緯で出演する事になったの、あといつ迄やってんの?
A:
へー、NASの親父さんもジャズミュージシャンかー。なんや金持ちか?もっとゲットーなイメージやけどナ。QUEENSブリッジ(NASの地元)の当たりは結構治安も悪くないみたいやし。良い暮らししてんのかな。EMANONなんかたまに近所で会うけどなんか日中に何してんねやろって感じ。
ぶらっとしてて。あとリッチーリッチちゅうオールドスクールのビートボクサー知ってますか?この人も朝4時くらいにハーレムで出くわして、『ブツいるか?』ってな具合でやりとりしてたらイキナリビートボックスはじめだして。またラップもするわで、こっちもビートでキックしてんけど、それへのリスポンスはなくて(笑)その名と反してホームレスやったりで。でも昼間ッからブラブラしてる自称スターたちにも拍手です。そうそう、質問に答えないと。ブロードウェイは終わったんですよね先週。怒濤の3週間でした。コレはFULL CIRCLEというブレイキングクルーのショウで、彼らとは出会って2年くらい一緒に大学でやったり、コミュニティセンターでやったり。基本的にはビートボックスとダンスのパートは別々でやってて、ラッパーもDJもいて曲をやったり、スパニッシュと黒人たちの歪みあいをダンスバトルで表現したり、普段ストリートでやってる連中も参加したり、STRETCHっていう安室のプロモのダンサーも出たり、かなりカラフルでごちゃごちゃした面子でした。近いうちに日本にも一緒にいってやりたいです。
3: なんかこう言う話を聞くといかにもNYと言う感じで良い、オールドスクールがあって今が有るみたいな、日本は依然としてバラバラな感じが否めない、日本のオールドスクール好きは今の流行りのサウンドダメっぽかったり…。まぁとにかくNYの自然な形でのHIPHOPを、アフラの語りで感じ取れただけでも今回こうやって筆談出来てよかったです。またそう言った極々普段の生活に密着したHIPHOPを感じる事の出来る映画が、この「ブレスコントロール」でも有ると言えるかもね、勿論ヒューマンビートボックスの巧みな面白さを伝える物でも有るけど、まずHIPHOP、と言うか音楽が普段の生活にどう言う形で取り込まれているかと言う良い映画でもあります。と言う事でアフラ君今回はどうもありがとう!、これを読んでいる読者はパソコンの前で惜し気無い拍手を送って下さい。また日本に帰ってきたらセッションしましょう!
<と言う感じで今回の『街角3K新聞 号外』どうでしたか?、映画『ブレスコントロール』は、RESFEST2002と言う映画祭でのみの公開となります。東京は11月22日原宿ラフォーレミュージアムで、1プログラム前売り¥1200、当日¥1500で20:40から、大阪は11月29日なんばHATCHにて21:50のスタート入場料は同上、各1度きりの上映になるので御見のがし無く!!!こぞって集合!。詳しくは http://www.resfest.jp まで!また前売りはチケットぴあにで発売。>