KING3LDK氏とラテンラスカズ氏による対談形式コラム。ヒップホップカルチャーを掘り下げてます。


第二回「DJ(ディスクジョッキー)編」

KING3LDK:
(以下3)
「更新しました、『ディープトウキョウ伝説』なんですが、今回は、『DJ(ディスクジョッキー)編』と言う事で…、前回は、角松やなんかのラジオの話しで終わってた訳で、ラジオとクラブでのDJプレイは違うなァ〜と…。」
ラテンラスカズ:
(以下ラ)
「生(2ターンテーブル&ミキサー)だけじゃ限界があるから、それプラス、サンプラー、リズムマシン等を使ってもっと作り込んで、所謂リミックスに近い形のスタイルってのが、ラジオの方のスタイル…。」
3: 「なかなか深いねぇ、この前にもあったメガミックススタイルなんですけど、どうやら、本場NYでは、クラブの現場でもそう言った事が行われてた様で、87’のミュージックマガジン(古ッ)では『NYの見習いDJ、時給¥1000(日本円)』と書いてあり、その写真のDJブースには、キーボードだのサンプラーだのドラムマシンだのが置いてあった、本当に全部使ってたかは不明ですけど…。まぁミックステープも近い物があるかも」
ラ: 「当時、その辺のマスターミックスとかメガミックスを、生でやるのを売りにしてたのが、渋谷にあった、その名も『HIPHOP』って言うクラブで、僕も行った事は無いんだけど、と言うか行かずじまいで閉店しちゃった。あそこのブースはターンテーブル4〜5台と、サンプラー、リズムマシンはもちろん、エレドラのパットなんかもセッティングしてあったらしい。」
3: 「なる程、で、ここに88’に出版された『DJハンドブック』があるんですが、『ニューヨーククラブヒップホップ』として載ってる、因に箱バンDJには、YUTAKAFRESH J(注1)氏や、前回でも紹介したM.I.Dのメンバーの方々がクレジットされてます、なかなか濃い事やってた訳ですなぁ。」
ラ: 「それで、さっきの話しに戻すと、この辺からヒップホップはラフな『2枚使い』のブレイクビーツスタイルのストリートタイプと、前出のリミックスやマスターミックスのりのエンジニアタイプみたいのに分かれた気がする、」
3: 「そうやね、当時でいえばダブルディー&スタインスキーの『レッスン1,2,3』(注2)や、それをお手本にしたコールドカットの『セイ キッズ』(注3)が、メガミックスやスタジオエンジニアリングと、クラブ.ラジオでもプレイされる様うな流行ものの中間を上手くとってる、もう少し後の世代で言うと、マリーマールとかコールドチリンのDUB物、エリックBとかのインスト物なんかも、そう言ったエディットスタイルに影響を受けた形跡がある。それに現在でも、AV8レコーズ(注4)を始めとする、所謂トラックス物と言われる流行りのビートを何曲も使って、更に流行りのフレーズのループを乗せたパーティーチューンは、当時の『なごり』とも『進化型』とも言える。」
ラ: 「だってミドルスクール(KING3LDK「GOOD TIMES Vol 3」参聴)のラップのトラックとか、ほとんどメガミックスだし、ハウスとかもそうだよね、言ってみればメガミックスが下地で、基本は同じ、統一したベースラインとかリズムが入ってたりするからオリジナルって言われる、ボムザベイス(注5)の『BEAT DIS』なんかもマスターミックスでしょ、要は。」
3: 「ボムザベイスはそう言った方面の第一人者なんですけど、一つ質問していい…?、メガミックスとマスターミックスっつーのはどう違うの?、よく出る言葉なんで、ここが重要と言うか、なかなか難しい。」
ラ: 「う〜んっと、僕が思うに、マスターミックスはあくまでも『メドレーっぽい感じ』とでも言うのか、元の曲を元のまま、ある程度聴かせるミックス、だから曲のクレジットも5曲使ってれば、あくまでも5曲のクレジットだったりする。対してメガミックスは、色々な曲のオイシイ部分だけを小刻みにミックスし、1曲(1つの作品)に仕上げる事じゃないかな、ある意味DJ MIXの一つの完成型だと思う。」
3: 「なる程ね、じゃあスピンバッドなんかは『マスターミックス』の部類と言う事か、タイトルにはメガミックスって書いてるけど…、ラテンラスカルズなんかがやってるタイプのラジオショーも『マスターミックス』なんでしょうな…。まぁたどって行けばスクラッチや2枚使いのスタイルを、もう少しリアルタイムでサンプリング等の技術を駆使したのがこの技法の特徴、と言う事で…。でぇ『DJ編』と言う事なんで、話しを少しずつ元に戻すと…、え〜DJとしては、ラジオにしてもクラブにしても、そう言ったダンスミュージックがより多くリリースされてた方がいいでしょ?。」
ラ: 「国内盤でもどんどんリリースされないと、こっちはいじれないからね。とにかくどんどんリリースされて、DUBバージョンとかで色々遊びを入れて欲しい。」
3: 「そうそう、もっといっぱい出てたら面白い、どうせダメなのは淘汰されて行く訳だし…。DUBバージョンと言えば、ナオヒロックの未発表曲で『LET'S ROCK』と言うのがあって、そのDUBを作った時、ずいぶん『ムーブザクラウド』(注6)を聴いた、あのエリックB&ラキムの…、ヒップホップにはこのDUBバージョンと言うのが結構あった、これが良かったのに、最近無くなったなぁ、こう言う文化が残ってたら、もうちょっと雰囲気も変わってたかも。」
ラ: 「なんでDUBかと言うと、DJやる時、かけたい曲が5〜6分で、曲間につなぎ易いポイントとかあれば良いけど、1分くらいのダイジェスト的なハデなDUBがあると、僕的にはすごく便利。」
3: 「たしかに、さっきも書いたけど、最近のトラックス物もそう言うDJのトイレタイム的な『便利皿』はある、もっと出せばいいのに、コンピとかで『トイレットビーツVol 1』とかのタイトルで…。ところで、今までスタジオスキル的な技法の話しを中心に進めて来た訳ですけど、カズ君自身は『クラブプレイ』と言うのに対してどう言う考えを持ってるの?。」
ラ: 「基本的にいかなる時でも、メガミックススタイルと言うか、例えば30分のDJだったら、その30分で1曲と言う感じで考えてて、クラブで生でやるにも限界がある時は、さっき言ってた1分位のDUB的な物を作って、MDで持っていったりしてる。普通にターンテーブルで曲をつないでると『もっとここにこのフレーズが来たら良いのに』、みたいな事が色々出て来ちゃってキリが無いんだけど…。」
3: 「なる程、それでMDで1〜2分の『イントロ』みたいな物を毎回作ってかけてる訳ね、たしかに『ラテンラスカズミックスショー』と言う感じでピリッとする、最近の若いDJの人はサラリとスクラッチやミックスはするものの、そう言った『シャレ心』
が薄い気がするんですけど、昔(昔は良かったじゃ無いけど)はもうちょっとウィットに飛んでて、見聞きしてて面白かった。」
ラ: 「でも下手したら、今の子はそれを生でやったりするスクラッチのテクもある訳だから、オッサンもオッサンにしか出来ない所で頑張ってます、踊ってくれれば最高だけど、『ウォー』とか心が踊ってくれればうれしいね。」
3: 「ウムウム(涙)ホンマやね(涙)、後は僕的には、そう言った若人達に、追いつけ追い越せ、いや追いつけません!!、と言った物を目指して行くだけです、やっぱり10年て結構蓄積された経験もあるし、だてに夜遊びしてませんっみたいな…。でもさっきも書いたんですけど、そう言った技術的な事とか、全部が点と線でつながってると言う事で。」
ラ:
「そうだね、結局僕がやってるエディットと言う手法(LATIN RASKAZ「ELECTRIC BOOGIE ONDERLAND」参聴)は昔からある方法で、それを昔の曲でやったら昔の物でしか無い訳で、今の曲をいじったりとか、自分しかやらない様な、かつ日本人のセンスで、歳相応(笑)のMIXをやらないとね。あと、下手だからとか言うんじゃ無くて、人前で気合い入れてスクラッチするのとか、最近はなんだか恥ずかしいと言う感じになって来た。」
3: 「まぁ、そう言うのはあるなぁ、擦るけど、バスドラかスネアをコリコリッと、つなぐ瞬間やる程度、それでも頑張ってやるようにしてる方かなぁ……。と言う事で『2人ともケッコーオッサンだった』と言うオチ、今回はこの辺で。次回は、IT革命の最中、名ばかりの不景気と、情報の飽食時代に生きる若者に捧ぐ!、『ファッション激動!編』(爆笑)!乞う御期待っ!」