江戸の風雅 水琴窟の音文化

草木が揺れる音、秋の虫の声…かつて自然の音は、野山に満ちあふれ、日本人は四季折々
の音を愛でる繊細な感覚をもっていました。また、川のせせらぎや滝の音など、古来より水の
音に特別な感情を抱いてきました。水琴窟は、江戸時代、日本人のこうした風雅な心を表わす
ものとして、日本庭園の中で生まれました。

水琴窟は、江戸時代中期の庭師による考案と言われています。茶室の入口の蹲(つくばい)
や縁先の手水(ちょうず)鉢の排水溝に組み込まれていました。その構造は、底に小さな穴を
あけた瓶を伏せて地中に埋め、来訪者が手や口を洗い清めた水が、穴から水滴となって落ち
るように工夫した一種の排水装置です。流れ落ちた水滴は、瓶の底に溜まった水面と当たり、
瓶の中で反響し、琴を奏でたような妙音となるのです。このように水琴窟は、昭和初期まで全
国各地で盛んに造られ、音を楽しむ最高の庭園技法として伝えられてきました。しかし、戦争
の激化と共に造る人もなくなり、戦後は全く忘れられた存在となってしまいました。
 

つくばい水琴窟の構造(断面図)

人の心を癒す一粒の滴

戦後、全く忘れられた存在となった水琴窟ですが、最近では「日本の音風景」「癒しの音」とし
て注目され、静かな広がりを見せています。その大きな理由の一つは、古来日本人が親しん
できた琴のつまびきにも似た澄んだ音色が、現代の人々の心に、ゆとりや豊かさをもたらすか
らではないかと思われます。たった一粒の水滴が、小宇宙を落下するような神秘的な響きとな
り、その可憐で不規則に変化する余韻が、耳の奥に染みわたり、心が安らいでいくのでしょう。
ランドコアでは、滴がつくりだす玄妙音とも風流音ともいうべき音の世界を、多くの方々と共有
することができればとの思いから、庭づくりに水琴窟を取り入れるご提案をしています。

金属によって現代に蘇る滴と音の芸術

ランドコアでは、従来の水琴窟に加えて、新しい水琴窟にも力を入れています。ランドコアと提
携している(株)ヘブンスビューローでは、音の振動をより伝える性質をもつ金属素材で、工芸
の伝統技による水琴窟を制作しています。金属という素材、機能性、音、デザインなどあらゆる
面にこだわり、考案された移動式水琴窟です。この新しい水琴窟は、その名の通り移動ができ、
瓶が地上にあるため外観の美しさを楽しむことができるのです。職人の手によって一つ一つ制
作された水琴窟には作り手のこころとともに、手仕事のすばらしさを伝えていきたいという思い
が込められています。移動式水琴窟にご興味のある方は下のサイトへ是非アクセス下さい。


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